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月の明るい夜にだけ、姿を現す キノコの妖精 「ルナ」 月がよく照らす丘の上で、いつもウタを歌っていた。 それはいつも悲しげなウタだった。 |
ある時ルナは歩いていた。 空にはきれいな月が輝いていた。 とぼとぼと歩くルナの足元に、何かが光った。 ふと顔を上げると、そこには無数の水たまりが広がっていた。 すると、水たまりからゆっくりと足音が聞こえてきた ペタペタと足音は近づいてくる。 ルナは怖くなってぎゅっと目を閉じた。 ルナの目の前で足音が止まった、ふとその時、 見上げたそこに彼女は立っていた。 |
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水のようなものを全身にまとい、月明かりに照らされてキラキラと彼女は光っていた。 ルナがそっと彼女の体にふれると、 身にまとっていた水は、キラキラとはじけとんだ。 彼女はルナに両手を差し出し、 「あなたは悲しい心をしている。 でも、もう大丈夫。あなたと私は友達。」 |
それからルナは悲しいウタを歌わなくなった。 そして毎日彼女に会いに行った。 彼女の目はふしぎな目をしていた。 時にちがう色になっていた。そして体も。 「私はいつも同じ。ルナは心で私を見るから、ちがう色に見えるだけ。」 彼女はにっこり笑って月を見上げた。 「ルナの涙はとてもキレイ。うれしい時だって涙は出るんだよ。」 彼女はそう言ってまた体に水をまといキラキラと光り出した。 それはとても美しく、見つめるルナの瞳から涙がこぼれた。 ルナの涙はキラキラとまたたいて、彼女の体へと吸い込まれていった。 |
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ルナが流す涙から生まれた彼女の名前は「シズク」。 ルナとシズクは手をそっとつないで、月を見上げながらウタを歌った。 ルナとシズクは、ずっと友達。 うれしい時も、悲しい時も、いつも一緒に。 |
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